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生活環境を知るための文献

私が薦める一冊の本

志村幸雄
笑う科学 イグ?ノーベル賞
PHPサイエンス?ワールド新書、2009

2014年のノーベル物理学賞に青色LEDの発明で赤崎博士、天野博士、中村博士が選ばれたことは皆さんの記憶に新しいことだと思います。
「本家ノーベル賞のパロディ」、「裏ノーベル賞」などの異名をもつイグ?ノーベル賞(Ig Novel Prize)は1991年に創設されました。授賞の公式規準は「人を笑わせ、そして考えさせる」、および「真似ができない、またするべきではない」であり、非公式規準として「目を見張るほどバカげているか、刺激的でなければならない」とあります。
日本の研究者はこの賞創設以来の20数年で20件の授賞をしていて、日本がイグ?ノーベル賞大国である事は余り知られていないかも知れません。

本書では以下の2008年までの代表的な日本人の授賞とその研究内容を紹介しています。
?ピカソとモネの作品を識別するハト(1995年、心理学賞)
?イヌとの対話を実現した犬語翻訳機「バウリンガル」(2002年 平和賞)
?兼六園の銅像がハトに嫌われる理由の科学的考察(2003年 化学賞)
?人々が互いに寛容になることを教えたカラオケ発明(2004年 平和賞)
?バニラの芳香成分「バニリン」を牛糞から抽出(2007年 化学賞)
?粘菌による迷路の最短経路の解法(2008年 認知科学賞)

昨年(2014年)は、バナナの皮の摩擦係数を測定して実際に滑りやすいと証明して北里大の馬渕清資教授ら4人が物理学賞を授賞しました。

科学の原点である自然現象への観察眼と驚き、仮説の独創性と研究の構想力などは本家ノーベル賞に匹敵するもので、ただ役に立たないものが多いという違いがありますが、科学する(研究する)ことの楽しさを感じ取ることができます。 (E. J.)